CEO Comments CEOコメント

林 郁

代表取締役 兼
社長執行役員グループCEO

CEO Comment Vol.64 『2018.3月期第2四半期決算サマリー』

 本日の取締役会での承認のうえ、2018.3期第2四半期決算短信(PDF)を発表しました。
以下に決算サマリーおよび、DGグループの最近の動きと今後の事業方針についてご報告します。

Ⅰ. 決算概要

 2018.3期第2四半期(累計)(2Q)は、売上高28,719百万円(前年2Q累計23,817百万円)、営業利益1,416百万円(同906百万円)、税引前利益3,494百万円(同4,702百万円)、四半期純利益2,490百万円(同3,693百万円)となりました。通期業績予想数値に対する進捗率は、売上高49%、税引前利益44%と順調に推移しています。

 前2017.3期は、6月決算から3月決算に変更したため、9か月の変則決算、かつ、各四半期の前年同期が異なるため単純比較はできませんが、便宜上前年2Q累計比で、売上高21%増収営業利益56%増益税引前利益26%減益となります。税引前利益の減益は、前期の変則決算の影響等(前期はカカクコムの持分法投資利益を9か月分計上していること、為替差益及び特別利益の減少等)によるもので、営業利益同様に前期比増益基調であると分析しております。

 事業セグメント別には、MTセグメントが、売上高17,299百万円(同13,394百万円、29%増)、税引前利益1,098百万円(同784百万円、40%増)と大幅な増収増益を達成しました。主力のパフォーマンスアドが、スマートフォンアプリ分野やFacebook等のソーシャル広告が牽引し、過去最高のセグメント業績を更新しています。FTセグメントは、売上高10,159百万円(同9,329百万円、8.9%増)、税引前利益1,157百万円(931百万円、24%増)とこちらも過去最高のセグメント業績となりました。主要なKPIである決済取扱高は、半期で初めて7,000億円を超えEC市場を上回る成長が続いております。戦略領域である、非EC、対面決済領域において、モバイル決済、個人間決済が大幅に伸長し、ビットコイン取引所向けの現金チャージ等新分野の決済が急拡大しています。IT/LTIセグメントでは、DG Life Design社を連結子会社化(当期においてはB/S連結)しました。ライフスタイル支援事業として、中長期の事業育成に取り組み始めました。

 以降は、DGグループのマイルストーンとなる直近の動きと今後の方針についてご説明します。

Ⅱ. 事業セグメントや戦略プロジェクトハイライト

<投資育成事業のグローバル化を加速>
 ITセグメントでは、投資育成事業のグローバル化を加速しています。北米とアジアの投資事業強化を図るため、10月に米国シリコンバレーやニューヨーク、日本、香港で投資活動に従事してきた有力投資家のBrian Yeh(ブライアン・イエ)を海外投資担当の執行役員に迎えました。BrianはDGの全額出資子会社で投資育成事業を手がける株式会社DGインキュベーションのChief Investment Officer(投資責任者)として、北米とアジアにおける投資事業を統括します。Brianの就任を契機に、北米と日本、アジアをつなぐインキュベーションストリームをさらに強固なものとし、デジタルガレージの海外投資事業を更に進化させていきます。
 有望なスタートアップ企業の育成事業については、国内有数の起業家支援プログラムとして評価を得ている「Seed Accelerator Program」を展開するOpen Network Labのグローバル化を加速させます。具体的には、今年6月にDGインキュベーションによる出資を発表したAll Turtles社との事業連携を開始します。All Turtles社はEvernoteの共同創業者で元CEOのPhil Libin氏らが、サンフランシスコ、東京、パリ(Station F)の3拠点をつなぐAI関連スタートアップ企業のインキュベーションプロジェクトとして設立した、スタートアップ支援スタジオです。今回の連携によりOpen Network Labは、Phil Libin氏らからのアドバイスを、Seed Accelerator Programに参加するスタートアップ企業に提供します。また、All Turtles社がサンフランシスコや東京、パリに構えるインキュベーションスタジオに入居するスタートアップ企業とのノウハウ共有や交流の機会も設ける予定です。
 また、DGインキュベーションの出資先であり、香港でスタートアップ支援スタジオの運営と投資を行っているMind Fund社(Founder and CEO:Adam Lindemann)ともAI関連のスタートアップ企業の支援事業で連携し、香港、中国、イギリスをハブにしたインキュベーションネットワークを整備します。Open Network Labで育成したスタートアップ企業のアジア展開の支援や、世界展開を目指すアジアのスタートアップ企業の共同育成にも更に注力していきます。このほか、北欧の有力スタートアップ企業の創業者が参画すべく設立準備が進んでいるファンドとも連携する予定です。このほか、札幌市がAI関連技術を活用した新たなビジネスの創出や、AI関連企業の集積などを目的に設立した「Sapporo AI Lab」にも積極的に協力していきます。
 こうした連携により、日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジアをつなぐGlobal Incubation Streamを構築し、次世代を担うスタートアップ企業をいち早く発掘し、投資、事業育成を行う体制を一層強化していきます。

<フィンテック事業のハイライト>
FTセグメントに関しては、税金、保険料などの公金を扱う決済事業に本格参入します。ベリトランスは、2017年10月より厚生労働省に、国民年金保険料カード納付のためのカード決済サービスの提供を始めました。日本政府が推進する「日本再興戦略」では、2020年に向けキャッシュレス環境の整備・普及による決済利便性・効率性向上が掲げられ、各省庁・自治体による各種税金、保険料、手数料・利用料等の電子納付の導入が拡大していくものと予測されます。DGのFTセグメントは、社会インフラに成長した決済サービスの担い手として、行政機関の各種収納業務の効率化と国民の納付利便性の向上を支援すべく、今後もこれらの公金領域への決済ソリューションの提供に注力していきます。

MTセグメントについても、成長を牽引するパフォーマンスアドを基盤としながらも、フィンテック領域への取り組みを始めています。その第1弾として、中国のインターネット企業であるテンセントとの共同事業を開始しました。テンセントが提供する多機能チャットアプリ「モバイルQQ」向けに、訪日中国人向け公式コンテンツ「QQお出かけ日本(QQ出行日本)」を開発し、2017年10月より本コンテンツを通じたインバウンドマーケティングサービスの提供を開始しています。

■クラウド型のフィンテック戦略事業では、当社グループのベリトランスと弁護士ドットコムおよびクレディセゾンがサービス連携し開発した、「クラウドサイン」での契約締結と、契約にかかわる決済を同時に実行できる「クラウドサインペイメント」の提供が、契約から決済までが一元化された日本初のクラウドサービスとして、10月より始まっています。ベリトランスは、決済代行会社として入金サービスを提供することでクラウドサインペイメントのサービスをサポートしています。今後も、FTセグメントを中心にDGグループは、法律および技術と金融の融合を通して、業務の効率化を図るサービスを提供していきます。

<仮想通貨の汎用フレームワークを開発>
 次世代の事業の柱を作る戦略的研究開発組織「DG Lab」(2016年7月にカカクコム、クレディセゾンと設立)は2017年10月に、ビットコインに用いられているブロックチェーン上で独自仮想通貨を発行できる決済システムに向けた汎用フレームワーク「DG Lab DVEP TM(Digital Value Exchange Platform) 」を開発しました。地方の金融機関と連携し実証実験を済ませた「DG Lab DVEP」は、すでに数多くの金融機関、自治体、電子マネー事業者等から問い合わせを受けています。Blockstream社が提供するビットコインを基軸としたブロックチェーン技術であるElements(エレメンツ)の最新機能「Confidential Assets」(コンフィデンシャル・アセッツ)を適用して開発したセキュリティレベルの高い「DG Lab DVEP™」を軸として、今後フィンテック市場の事業のみならず、地方創生に向けた地方自治体・行政と連携した事業など、日本市場の様々な分野でブロックチェーン技術を活用した新規事業創出に取り組んでいく計画中です。

<DG Lab関連ハイライト>
 DG Labファンドは、ブロックチェーン・AI・バイオテック等の分野で次世代技術を有するスタートアップ企業14社に投資してきました。DGはDG Labを通じ、一部の投資先企業と連携した技術開発を推進していきます。DG LabファンドにはITはもとより、マスメディア、金融、メガバンク、有力地方銀行、不動産等、様々な有力企業の出資が確定し、12月末で1号ファンドをクローズする予定です。

以下、DG Labの最新クリップです。

<スマートシティプロジェクトに着手へ>
 DG Labで開発した様々な事業アイデアの有効性の実証にも積極的に取り組んでいきます。その一環として、新世代技術を実装した都市やオフィス開発を推進するスマートシティプロジェクト準備室をDG内に組成しました。全国の様々なエリアにおける地方創生を活性化することを目的とします。スマートシティプロジェクトでは、DG Labが注力する分野の開発技術を活用し、5G導入予定エリアでのブロックチェーン技術を活用したエリアマネーや、VR/ARプロジェクトの実証実験、DGのグローバルネットワークやベンチャーキャピタルを通じ若い起業家や技術者に、経験豊かな起業家や投資家のノウハウを与えるインキュベーション事業等を、DGグループの拠点である渋谷区のほか、福岡、札幌を皮切りに、さまざまな地域と連携展開していくことでスマートシティ化を図り地方創生に貢献していきます。
 すでにDGは、2017年9月に福岡地域戦略推進協議会(FDC)と、福岡市におけるスタートアップ起業支援を行うことで合意し協定を締結しました。FDC内に新規に創設された「FDC Launch Program(FLaP)」を拠点とし、DGが中心となって福岡地域におけるアントレプレナーシップの啓蒙活動、スタートアップ企業の経営支援を行い、雇用創出や地域経済の発展へ貢献していきます。10月には、福岡市スタートアップ支援1号案件としてAI/IoTを活用したクラウドサービスを展開するスカイディスクに出資するなど具体的な活動を開始しています。DGは今後、金融や物流事業を全国展開するインフラ企業等との連携を通じて、雇用創出や地域経済の発展へ貢献できるスマートシティプロジェクトの推進を加速させていく予定です。

 2020年に向けて、急速な技術革新がもたらす事業環境の破壊と創造が予想されるなか、先進的な取り組みを行う様々な企業と連携することで、技術革新がもたらす新しいビジネスの萌芽をコンテクストでつなぎ事業の柱として育てるOpen Incubationが不可欠だと改めて確信しています。事業環境の変化にしなやかに適応していくことで継続的な収益拡大を維持し、世の中の役に立つ「コンテクスト」を創っていく会社として、挑戦を続けていきます。


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