CEO Comments CEOコメント

林 郁

代表取締役 兼
社長執行役員グループCEO

CEO Comment Vol.55 『グローバル展開の加速と電通との資本業務提携について』

 本日の取締役会で承認の上、株式会社電通との資本業務提携に関する基本合意書締結を公表いたしました。今回の提携に至った背景に併せて、先日発表した業績の上方修正、米国戦略子会社のNeoが12月初めにサンフランシスコで開催した「Lean Startup Conference」の様子やグループ事業のアップデートをさせていただきます。

 今回の電通との提携の狙いは大きく2つあります。一つは、DGの有するグローバルネットワークを活用した、主として米サンフランシスコ/シリコンバレー発の最先端マーケティング・テクノロジーの発掘です。発掘した有望なテクノロジーを、優良なユーザーが多く存在する日本市場に合せて最適化し、日本を含むアジア地域での事業化を進めることによって、グローバル・インキュベーション・ストリームの構築を目指します。決済プラットフォームはDG、広告プラットフォームは電通グループという、グローバルで強力なマネタイズの基盤が実現します。

【インキュベーションストリームの図】

 もう一つは、電通の持つ膨大なビジネスインテリジェンスとDGグループの保有する決済/メディアデータを活用した、デジタルマーケティング事業の展開です。DGは、ベリトランスのグループ入りによって決済事業を通じた国内トップレベルの年間7,000億円規模の流通総額に相当するショッピングデータを保有しています。また、グループ会社である株式会社カカクコムでもショッピングデータを蓄積しています。個人情報を保護するかたちでこれらを活用した商品リコメンドやターゲティング広告といった新たなオーディエンスデータ事業を、マーケティング事業の成長戦略の柱と位置付けております。

【ビッグデータ/オーディエンスデータ事業の図】

 上記のようなグローバル展開を加速するための足場も固まってきました。足元の業績については12月6日に業績上方修正を発表した通り順調です。ペイメント事業とマーケティング事業が当初予想を上回ることに加え、ベリトランスグループの決算期変更による9か月変則四半期決算を連結することが要因となりました。ペイメント事業は、今後IFRS(国際会計基準)に準拠し、意思決定の迅速化を図って参ります。また、12月1日にペイメント事業のヘッドクオーターである香港子会社のecontext ASIA Limitedの傘下に、イーコンテクストとベリトランスを収める再編も完了し、アジアでのペイメント事業の拡大スピードを上げる準備が整いました。

【ペイメント事業再編の図】

 DGの中期計画を達成する上でもう一つの柱である、インキュベーションセンターとアジャイル開発事業のヘッドクオーターを担う、米国法人の事業も軌道に乗りつつあります。最先端のソフトウエア開発支援事業を展開するNeo(旧New Context)が、2012年12月3日と4日にサンフランシスコで開催した「Lean Startup Conference」は、大盛況のうちに終了しました。インターネットビジネスの起業家のバイブルとなりつつある「The Lean Startup」の著者でNeo社のGeneral PartnerであるEric Ries氏がホストということもあって、スタートアップ企業関係者から大企業の新規事業担当者までさまざまな背景の人々が参加し、会場は立ち見が出るほどの熱気に包まれました。これに加えて、同時に行ったインターネット中継は世界中から1万人以上の方々が視聴しました。中でも注目を集めたのは、米国政府のCTOを務めるTodd Park氏の講演でした。Todd氏は、米国経済の活性化のためにはスタートアップ企業に限らず、政府主導のプロジェクトにもLean Startupの手法を採り入れることが重要だと語り、政府による実践の具体例を示しました。カンファレンスにはこの他、Netscape創業者のMarc Andreessen氏やGeneral Electric社の Beth Comstock氏などもスピーカーとして登壇し、Lean Startupの裾野が急速に広がっていることを印象づけました。Neoは、今回のカンファレンスに参加した企業担当者などをコンタクトポイントとして、Lean Startup手法に基づくソフトウエア開発の支援事業を世界展開して参ります。

【Lean Startup Conferenceの様子】

 カカクコムの業績も順調に伸びています。「価格.com」「食べログ」「フォートラベル」といったグループサイトを合計した2012年11月の月間利用者数は前年同期比21.2%増の9,327万人、総ページビューは同18.2%増の20億0273万と、日本を代表する有力メディアとなりました。

 Lean Startup Conferenceへの参加や投資家向けミーティングのために、12月初めから2週間をかけて米国とヨーロッパを訪問してきました。久しぶりに日本に戻ってくると、政権交代を契機とした日本経済の復活への期待感を肌で感じました。株主・投資家の皆様には、本年中の変わらぬご指導とご支援に御礼を申し上げます。

 年明けの1月18日と19日には弊社ビルにて「MIT Media Lab @Tokyo 2013」を開催します。また来春には、サンフランシスコ市内で開設準備を進めてきたインキュベーションセンターがオープンする予定です。DGグループにとってますますの飛躍の年にすべく、「Lean Global」のスローガンの下、2013年も役職員一丸となって事業拡大に取り組む所存です。よろしくお願い致します。

【Lean Globalのイメージポスター by Nick Philip】


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