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林 郁

代表取締役 兼
社長執行役員グループCEO

CEO Comment Vol.59 『中期3カ年計画の総仕上げに向けて』

 本日の取締役会での承認の上、2015.6期第2四半期決算短信(PDF)を開示しました。

 2015.6期2Q連結累計決算は、売上高17,887百万円(前期比14.5%増)、営業利益1,739百万円(同114.1%増)、経常利益3,464百万円(同105.3%増)と過去最高の利益を計上することができました。要因として、インキュベーション、ペイメント、マーケティングの3事業部門すべて増収増益を確保し、特にインキュベーションにおいて、国内外の投資インキュベーション事業が拡大し全体業績を牽引いたしました。

 一方で、1月30日に通期業績見通しと配当予想を上方修正致しました(「通期業績予想の修正及び配当予想の修正に関するお知らせ(PDF)」)。特に年間配当予想は、期初の1株当たり7円(普通配当5円、特別配当2円)から特別配当として18円増額し、年間25円とさせて頂いております。本年20周年を迎えるDGとして、20周年記念配当として株主還元を積極的化するとともに、引き続き株主還元を重要な経営テーマとして検討してまいります。

 戦略骨子「Global Incubationを中軸としたDGグローバル経営1st Stage」とコンセプト「Lean Global」を掲げ2012年8月に設定した中期3カ年計画も、残すところ後半期となりました。中期計画においてデジタルガレージのさらなる成長を支える柱として位置付けた米国と日本、アジアをつなぐインキュベーションストリームについては、その要であるサンフランシスコのインキュベーションセンター「DG717」が、さまざまなイベントの開催やコワーキングスペースの提供を通じて現地のスタートアップコミュニティーに定着したことで、いよいよ本格的な事業フェーズへと進みつつあります。

 各事業セグメントに目を転じても、中期計画の総仕上げに向け着実に収益基盤の拡大を進めています。中でも「インキュベーションセグメント」については、2014年12月にDGインキュベーションの投資先である弁護士ドットコムクラウドワークスの2社が東証マザーズ市場に上場したことに加え、Wikipediaの商用版である世界最大のコミュニティーサービス「Wikia」を運営するWikia社に出資するなど数年後を見据えた新規投資も積極的に実行しました(「デジタルガレージ、世界的ソーシャルコミュニティ Wikiaの日本展開を支援」)。Wikiaについては、日本展開の拠点となる日本法人にも出資し、日本版Wikiaに掲載する広告の独占販売権を獲得することで、Twitter社との協業と同様に、投資収益に加えて事業収益も見込める体制を整えました。

 このほかインキュベーションセグメントにおいては、海外投資先の事業を日本で着実に育てるために新組織「App Works」を立ち上げました。海外スタートアップの日本事業の支援を通じてこれまで培ってきた知見を、App Worksを通じて体系的に新たな事業立ち上げに生かすことを目的としています。第1弾として、ウェブサイトへのアクセスのリアルタイム解析サービスを提供する米Chartbeat社の支援を行います(「デジタルガレージ、海外インターネットサービスの国内支援事業を強化 第1弾としてウェブサイトの解析サービス「Chartbeat」を展開へ」)。Chartbeat社は、2014年2月にDGが資本業務提携をした、米国のスタートアップ支援スタジオBetaworks社から生まれた企業です。米国の大手メディアサイトの8割が導入するなど急速に普及が進んでいます。App Worksは今後も米国などで実績のあるサービスを中心に日本展開を支援していくほか、社内で生まれた事業アイデアの立ち上げも行っていく予定です。

 「マーケティングセグメント」については、パフォーマンスアド事業が引き続き好調なほか、DGグループと電通グループが保有するビッグデータを活用したデータサイエンス事業を手がけるBI.Garageのビジネスも徐々に軌道に乗り、さらなる成長に向けた足場を固めつつあります。

 「ペイメントセグメント」については、ベトナムでマーケットプレイス事業と電子ウォレット事業を手がけるSendo社に出資すると共に、同社との合弁事業について合意しました。これまで、合弁会社の設立や大型出資を通じて現地の決済市場に参入してきたインドネシア、中国、インドに続き、ベトナムがアジア展開の拠点としては4カ国目になります(「econtext ASIA、ベトナム最大のIT企業FPTグループと 共同出資で、ECモール・決済事業の合弁会社設立(PDF)」)。

 中期3カ年計画の総仕上げの時期に入り、計画の達成に向け一定の手応えを感じている我々のフォーカスは、次の3年に向かっています。グローバル市場を俯瞰してみると、3年前に比べ米国の経済状況は好転しており、これがサンフランシスコを中心に勃興するスタートアップ企業にも強い追い風になっています。アジアでも、中国に加えて、インドやインドネシアといった地域におけるインターネット市場が着実に成長しています。こうしたマクロ市況を好機と捉え、国内におけるアベノミクスによる追い風にも乗って、グローバルなインターネット市場でのプレーヤーとしての役割を十分果たすことが、我々のミッションであると肌で感じています。

 こうした状況を踏まえ「IMAGINE MORE」を新たな社内スローガンとして定めました。現在の業務から見える範囲でビジネスを着実に拡大していくことは当然として、さらに一歩進んで想像力を働かせ、常識を疑って物事を考えることを通じて新たなビジネスを生み出すことが、様々なものがインターネットを介して加速度的に融合していく時代には重要になる、という意味を込めています。株主の皆様におかれましては、より一層のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。


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