CEO Comments CEOコメント

林 郁

代表取締役 兼
社長執行役員グループCEO

CEO Comment Vol.62 『2016.6期決算サマリー』

 本日の取締役会での承認の上、2016.6期決算短信を発表しました。また、9月の株主総会での承認を条件に、6月決算から3月決算への決算期変更も決議しましたのであわせてお知らせいたします。(決算期変更PDF

【2016.6期連結決算サマリー】

 2016.6期は、売上高43,763百万円(前期比14.9%増)、営業利益4,201百万円(同12.6%減)、税金等調整前当期純利益7,574百万円(18.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5,165百万円(同1.7%増)となりました。売上高は、期初予想の41,000百万円を大幅に上回る結果を残すことができました。これは、主に、MT(マーケティングテクノロジー事業)が、主力のパフォーマンスアドの好調、特にスマートフォン/アプリ領域の広告が牽引し大幅増収を達成したことによります。一方、当社の重視する税金等調整前当期純利益は、期初予想の8,200百万円に対し625百万円の未達となりました。

 利益面では、MT、FT(フィナンシャルテクノロジー事業)で、共に30%を超える大幅な増益を達成することができました。FTの年間決済取扱高は、前期比18%増の1兆1542億円と国内EC市場を上回る成長を続けております。反面、IT(インキュベーションテクノロジー事業)の売却ポートフォリオについては、Brexit(英国のEU離脱)等による金融資本市場の混乱により、一部株式の売却タイミングがスリップし同セグメントは計画未達となりました。また、急激かつ急速な円高進行により、外貨建て債権につき為替差損689百万円(前期は1,090百万円の為替差益)を計上したことによります。

【2017.3期連結業績予想】

~決算期変更も過去最高益更新を見込む~
 2017.3期は、6月から3月への決算期変更を予定(9月の株主総会承認を前提)しており、9か月の変則決算となります。決算期変更は、グループの決算期を統一することにより、効率的な事業運営の推進を図ること、適時適切な経営情報の迅速な把握と開示、さらに将来的な国際財務報告基準(IFRS)導入に向けたものです。9か月の業績予想となりますが、年換算で、前期比14%増収、同18%当期純利益の増益を目指しており、過去最高益更新を見込んでおります。

【DG Labが始動 】

 DGグループや戦略パートナー企業の次世代を支える事業の柱を作り出すことを目的とした研究開発組織「DG Lab」については、カカクコムクレディセゾンの賛同を得て2016年7月4日に正式に発足しました。「ブロックチェーン」「人工知能」「VR/AR」「セキュリティ」「バイオテクノロジー」を重点分野とし、オリンピックの開催を見据えた2020年までを第1フェーズとした活動をすでに開始しています。
 以下のコンセプト動画を御覧ください。

 ブロックチェーンについては、2016年2月にDGが子会社を通じて出資したBlockstream社との連携を推進します。同社は、ビットコインの基盤技術であるブロックチェーンの開発を手がけてきた第一線のエンジニアが数多く所属し、ブロックチェーンをさまざまな用途で利用するための先進的なプロダクト開発を行っていることで知られています。DG Labは、Blockstream社の技術支援を受けながら、ブロックチェーンを利用したクレジットカードのポイント交換システムや、今後ますます需要が増加する地域通貨のプラットフォーム、契約執行や価値移転、権利許諾等の自動化を行うスマートコントラクトの基盤技術などを開発する予定です。Blockstream社については、同社の日本事業をDGが全面支援していくことについても検討しています。

 人工知能に関しては、カカクコムや子会社のナビプラスが扱う株式会社電通と合弁で設立したDG子会社の株式会社BI.Garageが手がけるデータサイエンス事業への応用を推進していく予定です。具体的には、クレディセゾンが保有する購買・決済データと、カカクコムの持つWEB行動データ、電通グループの保有する広告関連データを元に、パートナー企業が有する様々なデータを組み合わせ、人工知能で分析した結果に基づくサービスやビジネスを開発することなどを検討しています。この結果生まれる研究成果は、ECサイトで個々のユーザーの趣向に合わせた商品を勧める次世代のインタラクティブ・エージェントなどに応用する予定です。

 今後は、広告、自動車、家電大手、通信キャリア、放送/コンテンツ、不動産といった様々なセグメントから、オープンプラットフォーム型の研究開発を行うDG Labのコンセプトに賛同していただける有力な企業に、協賛パートナーとして集まっていただき、業界の枠を超えたイノベーションを一緒に起こしていきたいと考えています。

 また、研究開発と並行して、DG Labが重点領域とする5分野における優れたスタートアップ企業に対する投資を行うことを目的として、DGは大和証券グループと「DG Labファンド」を立ち上げ、ファンドの管理を目的とした合弁会社「DG Daiwa Ventures」を設立しました。大手証券会社と投資事業を行う事業会社がSPC(特別目的会社)を設立し、共同でファンドを組成する今回の取り組みは、日本では希少なビジネスケースだと思います。
 30社から50社程度の出資者を募り、100億円から200億円規模のファンドを組成する予定です。これまでDGの投資事業を担ってきた子会社のDGインキュベーションに、DG Labファンドを加えることで、出資規模と投資分野の両方を拡大し、DGグループの投資事業により厚みをもたせるとともに、日本発のイノベーションを民間からの活力によって、加速させていきたいと思います。

【ファーストペンギンアワードを創設】

 DGは創業間もないころから、失敗するリスクをいとわず新たなことに挑戦する姿勢を「ファーストペンギン・スピリット」と呼び標榜してきました。このファーストペンギン・スピリットを世の中に広めることを目的に、世界を舞台に独創的な活躍をすると同時に後進の育成に積極的に取り組んでいる方を対象にした「デジタルガレージ ファーストペンギンアワード」を設立し、第1回の受賞者にサッカーの日本代表選手として活躍する本田圭佑氏を選びました。欧州のサッカーチームを買収しクラブ経営を通じて若手選手の育成に取り組んでいるほか、日本でも中学生チームや高校生チームを率いてサッカーを通じた人材育成に取り組んでいるように、現役選手でありながら従来の「サッカー選手」の枠にとらわれず、自身の体験をもとにグローバルな視野に立って後進の育成に当っている姿勢が、デジタルガレージ ファーストペンギンアワードの受賞にふさわしいと判断してのものです。

 本田選手は、デジタルガレージ ファーストペンギンアワードの副賞として2016年7月5日に開いた授賞式でお渡しした5000万円を「ファーストペンギンに成る可能性のある賢くて勇敢なスタートアップやベンチャー企業の起業家達」(ご本人のインスタグラムより)への投資に使うことを宣言しました。そして「次世代に少しでもより平和で明るい未来を残せるようにエンジェル投資家として可能な限り投資し続けていこうと考えています」(同)と語っています。こうした形でファーストペンギン・スピリットが日本を代表する才能を起点として世界中に広まっていくとすれば、事業会社としてのDGや社員、株主の方々、すべてのステークホルダー、ひいては日本の未来にとっても中長期で意義のある社会貢献になると確信しています。

 DG Labの設立を発表して以来、国内外の各方面から協業に関する様々なお問い合わせをいただいており、オープンイノベーション方式による研究開発への関心の高さを実感しています。DGも引き続きファーストペンギン・スピリットを掲げながら、DG Labの活動などを通じ世の中の役に立つ事業を立ち上げていくことで、日本ひいては世界のインターネットビジネスの発展に貢献していく所存です。株主の皆様におかれましては、より一層のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。


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