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林 郁

代表取締役 兼
社長執行役員グループCEO

CEO Comment Vol.63 『2017.3期決算サマリーと新中期経営計画ダイジェスト』

 本日の取締役会での承認の上、2017.3期決算短信(PDF)と新中期経営計画を発表いたしました。以下が2017.3期決算サマリーとなります。

Ⅰ. 2017.3期決算サマリー

■全体概要
 2017.3期は、売上高36,451百万円、税金等調整前当期純利益5,829百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,299百万円となりました。当期は、決算期変更による9ヵ月の変則決算のため、前期比較はありませんが、期初予想に比べ、売上高で2.8%、マネージメントアプローチで重視する税金等調整前当期純利益で17%未達となりました。要因として、IT(インキュベーションテクノロジー)セグメントの税金等調整前当期純利益が、期初予想の2,500百万円から588百万円となったことが挙げられます。これは、中長期的な事業利益として取り込むことが株主価値拡大に資すると判断し、期初12億円程度の売却益を見込んでいた複数社の株式売却を見直し、逆に出資比率を上げてグループ会社化したことによります。インターネット・インキュベーターを標榜する当社のミッションの一つである事業創造を実現するには、短期的なインキュベーション成果(株式売却益)に加え、かつてカカクコムに行った投資及び事業育成と同様に、長期的かつ継続的な事業利益の創出が重要であると考えました。今後は新たなクライテリアを設定し、中長期保有(LTI)と短期Exit銘柄をより戦略的に色分けする方針です。なお、次期中期計画初年度において、減損影響を排除する意味で保守的な株式評価損約7億円を計上しました。

 こうした戦略の変更に合わせて、投資事業の体制を一新しました。中核的投資子会社であるDGインキュベーションの代表取締役社長を私が兼務し、各セグメントの担当役員が加わって投資判断を行う投資ステアリングコミッティ型に形態を変更しました。また、海外での投資に関しては、サンフランシスコ在住の投資経験が豊富な人材がCIO(チーフインベストメントオフィサー)として近々着任する予定です。こうした体制の変更で、他のセグメントと比較すると収益の振れ幅が大きかったITセグメントの業績が安定し、より持続的な成長フェーズへと移行すると確信しています。

■事業セグメント別概況
 MT(マーケティングテクノロジー)セグメントは、スマートフォン/アプリ領域を中心にパフォーマンスアドが牽引し、前年同期比(便宜上2016.3期3Q累計/2017.3期3Q累計比)38%増収、同25%営業増益と高成長が続いております。FT(フィナンシャルテクノロジー)セグメントもKPIである決済取扱高が、9,955億円と前年同期比16%増加し、Eコマース市場全体を上回る成長を継続しています。主力のEコマース領域に加え、注力しているC2C領域や対面決済、公金決済においても実績が出始めています。MI(メディアインキュベーション)セグメントは、これまではカカクコム社の持分法投資利益とメディア開発を中心とした事業でしたが、2018.3期よりセグメント名をLTI(ロングタームインキュベーション)セグメントとして、本日発表したライフスタイル支援事業を担うDG Life Designや、女性誌の良質なコンテンツとソーシャルメディアを有機的に組み合わせた「コンピレーションメディア」の運営に向け講談社と合弁で設立した株式会社DK Mediaの事業が加わります。これらの事業を通じて投資育成型、アライアンス型含めた継続的な事業利益(キャッシュインフロー)を追求していきます。特にDG Life Designは、すでに黒字化している事業群をグループや戦略パートナーを挙げて投資・育成する初めてのケースとなり、IPO等で早期に事業の成長資金を調達し、より大きな事業へと成長していける事業群として大変期待しています(私が代表取締役会長に就任する予定です)。

 カカクコム、クレディセゾンと共に2016年7月に立ち上げたオープンプラットフォーム型の研究開発組織「DG Lab」は、重点領域とする5分野のうちブロックチェーンや人工知能を中心に、事業化を前提とした先端技術の開発を本格的に始めています。 今期中には、これらの中から具体的な成果をいくつか報告させていただく予定です。DG Labの活動をまとめた映像ダイジェストをご覧ください。

Ⅱ.2018.3期連結業績予想

~9期ぶり過去最高当期純利益更新を予想~

 2018.3期は、売上高58,500百万円、税金等調整前当期純利益8,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益5,500百万円を計画しております。前2017.3期の12か月換算数値に比べ、20%の増収、税金等調整前当期純利益は同30%増益となります。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益として関係会社株式売却益160億円を計上した、2009.6期以来9期ぶりの過去最高益更新となる見込みです。配当については、配当性向20%を基準に、1株当たり24円と前期比4円、20%増配予想となります。

Ⅲ.中期経営計画ダイジェスト

 これまで以上に安定的な業績の拡大を目的に、今期から「Open Incubation toward 2020」というスローガンの下、新たな中期3ヵ年計画をスタートさせました。「IT/MT/FT x Open Innovation」をスローガンとして掲げた前中期3ヵ年計画の基本方針は変えず、様々な企業と協力しながら技術革新を進める「Open Innovation」をさらに一歩進め、将来性のある事業の萌芽をグループ会社や他社との連携によるオープンなエコシステムの中で育成するという意味を「Open Incubation」という言葉に込めています。これを実現するために、DGグループは以下の図に示す6つのアクションを着実に実行していきます。

 こうした中期3ヵ年計画を立てた背景には、オリンピックが開催される2020年までの3年間にこれまでにも増して急速な技術革新がもたらす事業環境の破壊と創造が予想されていることがあります。ムーアの法則に沿った半導体の継続的な高性能化や、現在の10倍以上の通信速度を実現する移動体通信網である5Gネットワークの開始、スマートフォンや音声インタフェースを入り口としたユーザーインタフェースの変革、遺伝子解析・合成のコモディティ化などが、生活者のライフスタイルや産業構造に大変革をもたらすことが確実なためです。

 100年に1度と言えるようなこうした大変革をチャンスと捉え事業を拡大するには、スタートアップから大企業まで先進的な取り組みを行う様々な企業と連携することで、技術革新がもたらす新しいビジネスの萌芽をコンテクストでつなぎ事業の柱として育てるOpen Incubationが不可欠と確信しています。また、事業セグメント単位でも事業環境の変化にしなやかに適応し継続的な収益拡大を維持することを目的として、事業の方向性を最適化(ピボット)していきます。

 新中期計画では3年後の2020.3期に向け、MTセグメントとFTセグメントにおいて税引前利益で15%増の年平均成長率、ITセグメントとLTIセグメントで2.5倍のROIを数値目標として掲げます。また、資本収益性を示すROEについては20%、配当性向についても20%を目標とします。株主を含むステークホルダーの皆様におかれましては、より一層のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。

※追記:2017年5月15日に、2018.3期の業績予想について以下の資料を追加で開示しました。


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