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【DG New Context Festival #2】2人のプロデューサーが語る、誰も見たことのないショーケースの舞台裏

2026年2月14日、デジタルガレージは昨年に続き2回目となる“技術×文化×都市”を一体化した社会実装フェス「DG New Context Festival 2026」(以下、「NCF2026」)を開催。「From Context to Impact─文脈をつなぎ、社会を動かす─」を掲げ、MUSICイベント、URBAN SPORTSイベント、DRONE SHOWと多様なプログラムを実施した。

実証都市・渋谷で催された、都市・企業・個人・カルチャーの混じり合う、まったく新しい空間について、連載で振り返る。

2026年2月14日に開催されたNCF2026。MUSIC、URBAN SPORTS、DRONE SHOWと異なるコンテンツが交差し、会場は熱気に包まれた。それぞれのコンテンツを統括した2名にインタビュー。設計の意図とNew Context Festivalへの思いを伺った。


<Speakers>
株式会社ZETA 代表取締役 財満 栄治
音楽プロデューサー 日向 大介

(所属・肩書はイベント時点)


ストリートと「和」の表現を掛け合わせ、見たことのないショーケースをつくる

URBAN SPORTSパフォーマンスショーをプロデュースしたのは、財満栄治氏。財満氏は株式会社ZETAの代表取締役を務める。「アーバンスポーツの力で『熱狂』『絆』『活力』を生む」というMISSIONを掲げ、日本最大級のストリート・アクションスポーツ総合ニュースメディア『FINEPLAY』の運営、ストリートカルチャーフェスのプロデュースなど、幅広い事業を展開する。

NCF2026では、三味線・ビートボックスとBMXフラットランド、パルクールと和太鼓など、これまで接点のなかったもの同士が交差し、まったく新しいパフォーマンスが誕生した。URBAN SPORTSと「和」の表現を掛け合わせた背景には、URBAN SPORTSの「見方の幅」を広げたいという財満氏の思いがあった。

「以前から、日本の伝統文化やカルチャーをURBAN SPORTSと組み合わせることで、新しい見方を届けられると考えていました。とくに今回出演を依頼した3つの種目は、三味線や和太鼓などの和の音がハマるという直感がありましたね」

会場では外国人の方々を含む多くの観客が熱狂し、拍手を送ったり撮影をしたりする姿が見られた。財満氏は当日の様子を振り返り「新しいショーケースの形を届けられた」という手応えを感じたとのこと。

「今回のNCF2026では、どのパフォーマーも最高のショーケースをつくってくれました。和太鼓や三味線の演奏を見たことがある方はいるでしょう。しかし、ストリートパフォーマンスとの組み合わせでどんな化学変化が起こるかは想像すらできなかったと思います。観客の反応はとてもよく、会場にお越しいただいた多くの方に、新しいものを見せられたと思います」

URBAN SPORTSの魅力は、独特の文化「スタイル」にあり

URBAN SPORTSの力で、日本に活力を生み出したいと語る財満氏。そもそも、URBAN SPORTSは他のスポーツと何が違うのか。その本質について、財満氏は「スタイル」というキーワードで説明した。

「ストリートの世界では、ファッションや技のかたちに自分だけの表現を込め、周囲がそのスタイルを尊重し合う文化が根づいています。表彰台の順位がすべてではなく、自分のスタイルをどこまで貫けたかが評価される価値観は、競技スポーツとは異なるものです」

財満氏は、NCF2026主催のデジタルガレージに在籍した経験をもつ。同社の新しい領域に踏み出す精神「ファーストペンギンスピリット」に共鳴をしており、今回のショーケースづくりにもその思想が色濃く反映されたとのことだった。

「デジタルガレージのファーストペンギンという考え方には、在籍中から強く影響を受けました。URBAN SPORTSを日本社会に広めていくという使命をもって、諦めずにチャレンジし続けてきた結果が、今ここにつながっていると感じています」

業界構造の壁を越え、世界で活躍するアーティストが集った

NCF2026のMUSICイベントをプロデュースした、音楽プロデューサーの日向大介氏。アーティスト選定の段階から強くこだわったのは知名度よりも、世界で勝負できる実力の高さや研ぎ澄まされた音楽性の有無だった。

デジタルガレージの全面的なバックアップのもと、来場者数やチケット売上といった数字だけにとらわれず、アーティストの実力とその表現を最優先に据えたイベントを実現した。ユニークなアーティストたちのパフォーマンスに、来場者からは「こんなアーティストがいたのか」と感嘆の声が上がった。

日向氏によると日本の音楽業界には、海外で活躍するアーティストを排出しにくい環境があるとのこと。

「日本のアーティストが海外に出て行けないのは、アーティスト自身の問題ではなく、音楽業界の構造そのものの問題も大きいです。日本国内で売れると、武道館やドームでのコンサートが次々と決まります。事務所やレコード会社は、海外のクラブからもう一度一からスタートさせるわけにはいきません。

また、最初から海外マーケットに向けた楽曲をつくりたくても『日本ではウケない』という声に潰されて企画自体が消えてしまいます。日本の音楽市場が大きいぶん、リスクを冒してまで海外展開を狙う事務所は少ないのです」

NCF2026では、業界構造の壁を乗り越え、果敢に海外に挑戦したアーティストがステージに立ち、観客の価値観を広げた。

“技術×文化×都市”が生み出した感動体験

日向氏は、3,030機のドローンが夜空を彩るDRONE SHOWの楽曲制作も担当した。前年のショーにも参加した日向氏が今回とくに意識したのは「渋谷から発信する音楽カルチャー」をいかに楽曲に込めるかという点だった。

「最近、よく渋谷を電動自転車で走っています。ある日、ふとイントロのフレーズが浮かび、『これは渋谷っぽいな』と直感しました。周りのみんなも同意してくれて、そこからボーカルのキャリーと一緒に曲を仕上げ、渋谷の街で起こる青春物語のような今回の楽曲ができあがったのです」

渋谷の街並みや若者のエネルギーを感じさせる音楽や歌詞は、年配の来場者にはノスタルジーを、若い世代には「今」のリアルを連想させた。観客の多くが渋谷で遊んだ記憶をもっており、それぞれのなかに存在する渋谷の共通イメージを楽曲が表現していたのではと日向氏は分析する。

さらに今回はDRONE SHOWのための楽曲で、3000機以上のドローンの動きと音楽とを同期させなければならなかった。音楽と技術というまったく異なる両者を、正確にシンクロさせるには高い精度での調整が求められる。

「DRONE SHOWのなかにロケット打ち上げシーンがあり、そのカウントダウンから発射までの動きと、音楽とを合わせることが、演奏中にもっとも気を遣ったことです。0.1秒のズレも許されない状態でしたが、当日はほぼ完璧に合わせられました。その瞬間『今回のショーは成功だ』と確信しましたね」

前年のDRONE SHOWでは映像ストーリーに忠実な音楽表現を追求した。一方で今回は、よりポップでエモーショナルな方向性に舵を切ったとのこと。その結果、多くの観客に感動を与えた。ドラマや映画の音楽を多く手がけてきた日向氏が、ドローンという新しい表現手法の組み合わせでも、人の心を動かせるという確信を得た瞬間でもあった。

NCFのさらなる進化が、新しいムーブメントを起こす

NCF2026を経て、財満氏と日向氏はともにフェスのさらなる進化に強い期待を寄せる。

財満氏は、今回のような日本文化との掛け合わせをさらに進化させ、同時に新しい技術との掛け合わせにも挑戦したいと考えている。
「仮に見慣れたパフォーマンスであっても、今回のように親和性の高いものと組み合わせることで、新しい感動を生み出せます。NCFは“技術×文化×都市”がコンセプトですので、来年以降はさらに最新技術との組み合わせにも挑戦したいです」

さらに財満氏は、URBAN SPORTSと「和」の相性のよさをあらためて感じ、音楽に限らず、日本のものを幅広く掛け合わせたいと語る。

「ストリートカルチャーと『和』の融合は、まだ第一歩です。たとえば、盆栽や工芸品のような日本ならではのものと組み合わせることでも、おもしろいショーケースがつくれるのではと考えています。さらに突き詰め、日本のストリート文化を、海外にも届けたいです」

一方、日向氏は、NCFのコンセプトに他の音楽イベントにはない可能性を感じている。

「まだメジャーではない素晴らしい音楽を世界中に広める意味でも、URBAN SPORTSやアートと融合させる挑戦は、素晴らしいと思います。また、渋谷というIPがもつプロモーション能力も大きいです。渋谷は、今や世界でもっとも有名な都市のひとつであり、アーティストにとっては、世界へ羽ばたくきっかけになり得る場所です。

NCFは将来的に、サウス・バイ・サウスウエスト(※)のような、世界から注目されるイベントに発展する可能性も十分にあると感じています」

※サウス・バイ・サウスウエスト:毎年3月に米テキサス州オースティンで開催される、音楽、映画、インタラクティブを融合した世界最大級のイベント。最先端の技術展示、音楽ライブ、映画上映、カンファレンスが街全体で同時多発的におこなわれる

さらに日向氏は、NCF2026のDRONE SHOWでの観客の盛り上がりに、ショー自体のさらなる発展の可能性も感じた。

「今回のショーで、ドローンが野外フェスにもたらす影響の大きさをあらためて感じました。機体数が4,000機、5,000機へと増えれば、空中でLED画面のような映像を投影できます。また、QRコードの投影で観客側のアクションを促し、インタラクティブな演出も可能になります」

MUSIC、URBAN SPORTS、そしてDRONE SHOW。文化の集積地であり、世界の注目が集まる渋谷から発信される多様な「スタイル」は、互いに交差しながら新しい文脈を生み出す。デジタルガレージによる”技術×文化×都市”の実験は、まだ始まったばかりだ。

*DG New Context Festival(NCF)
「DG New Context Festival」プロジェクトは、デジタルガレージが培ってきた多層的なリソースやネットワークを「社会に開かれたコンテクストプラットフォーム」として統合する試みです。デジタルガレージグループの各事業、パートナー、カルチャーをつなぎ、都市 / 企業 / 個人が交差する「文脈の実験場」をつくることで、“技術×文化×都市”を一体化した社会実装フェスとして実証都市・渋谷から発信します。そして、「Contextが経済と文化を動かす時代」の象徴となることを目指します。

https://ncf.garage.co.jp

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