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「いつでも簡単に、安心して使える決済」の追求。定期通販のジレンマに挑む「スコアあとからカード」

いまや、ECでの決済にクレジットカードは欠かせない。総務省の「令和6年通信利用動向調査報告書」によると、インターネットで商品を購入する際の決済手段はクレジットカード払いがもっとも多く、全体の79.8%を占める。しかし、なりすましや不正利用が社会問題となり、被害を防ぐための本人認証は年々複雑になっている。安全のための仕組みが、結果として生活者に不便を強いる状況がある。

複雑な手続きを避けたい消費者に選ばれてきた決済手段の一つが、商品を受け取ってから代金を支払う「後払い」だ。株式会社DGフィナンシャルテクノロジー(以下、DGFT)のグループ会社である株式会社SCOREは、「いつでも簡単に、安心して使える決済」を掲げ、後払いサービス「スコア後払い」を3,000以上の企業に提供してきた。

そんな同社は2026年6月、「スコアあとからカード」をリリース。新たに、定期通販業界のジレンマを解決する挑戦を始めた。サービス内容と開発の背景について、株式会社SCORE 代表取締役社長の北原光氏と、スコアあとからカードの開発に携わった森裕士氏に聞いた。


<Speakers>
株式会社SCORE 代表取締役社長
北原 光
2002年、株式会社ニッセンに入社。2015年より後払い決済事業を管掌。2018年、ニッセンとDGFT(旧:ベリトランス株式会社)の合弁による株式会社SCORE設立に伴い、代表取締役社長に就任。

株式会社SCORE 戦略推進室 室長
森 裕士
2006年、株式会社ニッセンに新卒入社。定期通販事業者向けのターゲット広告営業を経て、後払いサービスの企画開発チームに参画。2020年にDGFTへの出向を経て「スコアあとからカード」の発案から事業化までを主導。現職では営業に加え、後払いサービスの企画開発を務める。

(所属・肩書は公開時点)


通販客のニーズに応えるために生まれた「後払いサービス」

「スコアあとからカード」は、2026年6月に提供が始まった、定期通販特化型の決済サービスだ。後払いサービス利用者を対象に提供される。通常、後払い決済の利用者は商品の受け取り後、代金をコンビニや郵便局で支払う。スコアあとからカードを使えば、消費者はわざわざコンビニに行かなくても、クレジットカードで支払いが完了する。加えて次回以降の定期購入も、同じカードでの支払いを続けられる仕組みだ。

サービスの仕組みについては特許(特許番号:第7876048号)を取得しており、利用者の利便性と事業者の運用負荷軽減の両立を図っている。

提供会社であるSCOREの出発点は、2012年まで遡る。通信販売会社の株式会社ニッセンが新規事業として立ち上げた後払い決済事業から始まった。当時、債権譲渡型の後払いサービスを提供する企業は先行する2社に限られ、EC事業者は十分な比較検討ができなかった。
「なんとかならないか」という事業者の声から生まれたのが、自社通販で蓄積した後払いの運用データをベースにした「ニッセン後払い(現:スコア後払い)」だ。

※商品やサービスの代金を受け取る権利(売掛債権)を事業者が後払い決済会社へ譲渡し、決済会社が購入者への請求・回収を行う仕組みのこと

一般的な後払いサービスでは、支払い期限や利用上限額が一律で定められている。ニッセン後払いは事業者の返品対応期間に合わせて支払い期限を延ばしたり、未払いのリスクを考慮したうえで上限額を柔軟に設定したりと、顧客の事情に寄り添った運用をおこなってきた。

そのサービス開発の背景には、常に顧客のニーズがあった。
「私たちは常に、何が必要とされているのかを起点に考え、サービス設計をおこなってきました。事業者さまの商売に合わせて、使いやすい後払いを具現化していくことが、私たちの存在価値だと考えています」

SCOREは2024年7月、DGFTの完全子会社となり、デジタルガレージグループに加わった。これまで以上に、顧客のニーズに応えられるようになったと北原氏は語る。

「デジタルガレージグループは幅広い事業を展開しており、決済だけでなく、マーケティングの段階からバリューチェーンの一連を支援できます。提供できることが増えるのは、ニーズに応えるという当社の価値観とも相性がいいです」

DGFTとの合流で実現した、「後払い」×「カード払い」の新サービス

後払いサービスのオプションとしてスコアあとからカードが開発されたのも、顧客のニーズに応えた結果だった。開発に携わった森氏によると、背景には定期通販業界が長年抱えてきたジレンマがあったのだと言う。

「後払いサービスを『本当は使いたくない』とおっしゃる定期通販事業者は多かったです。導入はするけれど、できるだけカードが選ばれるようにしたい、という声を何度も聞いてきました」

売上に占める後払いの比率は、通常の物販で1割前後にとどまるところ、定期通販では5〜6割を占める。割合の高い事業者では8〜9割にまで達する。背景には、初めて注文する商品への不安から、商品が届いてから支払いをしたいと考える消費者の多さがある。

しかし、後払いには定期継続率が低いという弱点がある。定期通販では約30日ごとに決済の与信審査がおこなわれ、前回分の代金が未払いのままだと自動的に商品の出荷が止まる。支払いが間に合わなかった消費者のぶんだけ定期購入が途切れてしまうのだ。

後払いは新規顧客を獲得しやすい一方で、未払いなどにより継続が途切れ、継続率が低くなりやすい。

このジレンマを解決するアイデアは、デジタルガレージグループとの合流によって生まれた。きっかけになったのはDGFTが取り扱う決済メニューの一つ「メールリンク決済」だった。決済用のURLをメールやSMSなどで消費者に送り、リンク先で代金を支払ってもらうオンラインの決済手段だ。

森氏は2020年、後払い事業の拡大というミッションを担ってDGFTへ出向する。DGFTが取り扱う多様な決済手段への理解を深めるなか、とある商談からの帰り道にひらめいた。

「後払い利用者に、カード決済用のメールリンクを送れないかと思いつきました。消費者からすると、初回購入時にクレジットカード情報を入力して事前決済をする必要はなく、商品が届いた後にカード決済ができて安心です。事業者としても、後払いがカード決済に切り替わることで、継続率の低下を防げます」

森氏はアイデアを整理し、北原氏に相談した。北原氏はいいアイデアだと思いつつ、相談された当初は実現に向けてすぐに動き出すのは難しかったと語る。

「コンセプトは理解できるものの、SCOREは後払い決済を主力事業とする会社です。私たちが注力すべきは後払い事業の育成ですが、カードに切り替えを促すと、そのぶん事業単体の売上は減ってしまうのではないかと考えました」

それでもスコアあとからカードの開発に乗り出したのは、ニッセン時代から受け継がれる、顧客のニーズに応えるという思いがあったと北原氏は語る。

「営業の現場で、『後払いとカード決済、両方のいいところを取りたい』という事業者さまの本音を何度も聞いてきました。求められているのなら、応えるのが私たちの役目です。森の提案するアイデアの効果が実証できれば、事業化すべきと判断しました」

2年間の試行錯誤の結果、パイロット版でのカード切り替え率は最大25%に達した。各事業者が独自に取り組む施策では、切り替え率が1%以下だったなか、突出した数字だ。

しかし、北原氏らが重視したのは単なる切り替え率の高さではない。「ただカードに切り替わっただけでは価値がない」と考え、顧客の継続率について追跡調査を行った結果、カード払いに移行した顧客の継続率が、後払い単体の場合を上回ることがわかった。

スコアあとからカードは、新規顧客を獲得しやすいという後払いサービスのメリットはそのままに、弱点だった継続率の低さをカバーできることが証明されたのだ。定期通販業界が長年抱えてきたジレンマを解消できるかもしれないと考え、SCOREはスコアあとからカードの事業化を決断した。

決済の枠を超えて。グループで挑む「購入後」の価値創出

スコアあとからカードの特徴は、大きく2つある。

1つ目は、1回目の商品の支払いから、カード払いに切り替えられる即時性だ。多くの定期通販会社は同梱のチラシやメールで「次回分からのカード切り替え」を案内してきた。しかし、スコアあとからカードは、払込票に印字されたQRコードやメールリンクからIDやパスワードの入力なしにカード登録ページへ進み、いま届いている商品の支払いからカード決済へ切り替えられる。

2つ目は、「値引きインセンティブ」。支払いをカード決済に切り替えた消費者が値引き特典を受けられるシステムだ。この値引き決済は、スコア側が値引き後の金額でカード処理を行ったのち、その値引き分が加盟店に請求されるため、実質的には加盟店(事業者)が値引き分を負担する精算構造になっている。事業者は一時的に身銭を切る形にはなるが、カード払いへ切り替わることでLTV(顧客生涯価値)が20〜30%程度向上するため、値引きコストを支払ってもビジネスとして十分に費用対効果が合い、最終的な利益を大きく伸ばせる。事業者はこのLTV向上によるメリットを原資として適切な値引き金額を設定することで、強力にカード切り替えを促せるようになった。

さらに、スコアあとからカードは単なる決済サービスではなく、マーケティング施策としての側面も強いと北原氏は言う。

「一般的に、決済担当者は手数料をなるべく低く抑え、コスト削減を目指します。一方、マーケティングの担当者は、適切なコストをかけながら新規顧客の獲得や継続率向上の役割を担います。スコアあとからカードはどちらかというと、後者に求められるサービスであり、今も反響を多くいただくのはCRMやマーケティングのご担当者です」

すでに、デジタルガレージグループのうちの一社で、EC事業者の成長を支援する株式会社DGビジネステクノロジーと協力し、マーケティング支援の一環としてスコアあとからカードを提案する営業連携が始まっている。

スコアあとからカードが対象とする市場のポテンシャルは大きい。SCOREの試算では、定期通販の市場規模はおよそ1.6兆円。そのうち後払いが6割を占めるとすると、定期通販における後払いの流通額は年間およそ1兆円規模にのぼる。

一方で北原氏は、定期通販という業態だからこそ、支援する事業者を絞ることも重要だと語る。

「定期通販は消費者に利便性をもたらす半面、1回限りの購入と誤認させて定期契約へ誘導したり、解約の手続きを極端に難しくしたりする悪質な事業者が存在するのも事実です。そんな事業者の支援をすれば、後払いの存在意義そのものが揺らいでしまいます。
だからこそSCOREは、導入したいと強くご希望いただいても、サービス内容や事業実態を徹底的に調査し、場合によってはお断りさせていただくこともあります。

また、スコアあとからカードを導入いただいた後であっても、『定期購入だと知らなかった』といった相談が、消費者から寄せられた際は、当社から加盟店に迅速な対応を促し、トラブル解決をサポートします。
入り口での厳格な審査だけでなく、導入後も業界の健全化に向けて目を光らせ続ける。それが、社会的な影響力の大きい決済インフラを担う当社の覚悟でもあります」

あえて「つなぎ目」を残す、消費者の気持ちに寄り添った決済インフラを目指す

スコアあとからカードの設計思想の根底には、森氏が長年のユーザーヒアリングで理解した、後払い利用者の心理がある。

「後払いを選ぶ消費者は、カードを持っていないわけでも、お金に余裕がないわけでもありません。商品を確認し安心してから、自分の意思で支払いたいのです。ある利用者の方は『支払いの主導権を握られるのが怖い』とおっしゃっていました。とくに定期通販は継続的に引き落としが発生するため、不安を感じる方が多いのだと考えています」

だからこそ森氏は、決済関連サービスでよく使われる「シームレス」という言葉に、慎重な見方を示す。

「支払っている感覚がなくなるくらい滑らかに決済が完了する体験は、後払いを使う方たちが望んでいるものとは違うと感じています。あえて一度立ち止まり、自分の意思で手続きを進めるほうが安心できる、という方が多いのではと思います」

最後に、今後の展望について聞いた。森氏はスコアあとからカードが生み出す、消費者と事業者との新しい接点に可能性を感じている。

「集客から商品ページ、購入ボタンまで、世の中のマーケティングサービスのほとんどは『購入するまで』に集中しています。一方、お買い物において必ず発生する消費者接点の中で、購入後に発生するのは、配送を除けば後払い決済のみです。
従来はコンビニ払いというオフラインの支払い行為が主でしたが、スコアあとからカードによって、オンラインの接点が生まれました。その接点を活用し、会員登録をしてもらって与信枠を増やすなど、消費者と事業者の双方にメリットがある仕組みを構築できるかもしれません」

北原氏は、デジタルガレージグループのアセットを活かした、後払いサービスのさらなる広がりに可能性を感じている。

「今後も、グループがもつアセットをフル活用し、サービスの提供範囲拡大や価値向上を実現したいです。
直近だと、株式会社DGビジネステクノロジーが提供する業界特化型データ収集サービス「InsiteStream」を基盤とした与信精度向上を予定しています。

後払いサービスでは未払いをすべて当社が負担する構造上、与信の精度向上はサービス提供範囲の拡大に直結します。より早く正確で、かつサービスの導入企業が増えるごとに精度が高まる与信システムの構築で、これまで以上にサービスの提供範囲を広げていきたいです」

さらに北原氏は、今後も顧客のニーズと向き合い続けると語った。

「これからも、顕在化しているニーズに応えるのはもちろん、潜在的なニーズを先読みし、具現化しながらサービスをブラッシュアップさせます。『いつでも簡単に、安心して使える決済』を提供し続け、消費者が真に求める買い物体験に貢献したいです」

生活者の声に向き合い続けてきたSCORE。ニーズに応える姿勢とデジタルガレージグループがもつテクノロジーの掛け合わせから生まれたスコアあとからカードは、簡単さと安心を両立する、定期購入の次のスタンダードになるはずだ。


株式会社SCORE:https://corp.scoring.jp/
スコアあとからカードサイト:https://www.scoring.jp/atokara-card/

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